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2012.1.21「演奏家のための身体法──ディスポキネシス」について紹介 於:東京芸術大学第1回Dコンサート
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2011.12.20 日本芸術療法学会にて講演「演奏家と身体」 於:東京芸術大学

フォーカル・ジストニア

こんな症状に悩んでいませんか?

—最近、何となく指が動かしにくい、違和感を感じる
ー演奏中、指の巻き込みや突っ張りが意図せず起こる
ー指を曲げようとしているのに突っ張ってしまったり、一度曲げた指を伸ばす(広げる)ことができなくなる等、指が意図したように動かなかったり、意図していない動きをする
—特定の音型や、専門の楽器を演奏するときだけ、不調和な動きが起こる
—唇や舌が思ったように動かない、楽器を吹こうとすると収縮してしまう


このような症状は、演奏家特有の障害として現在少しずつ認知と研究が進んできている「フォーカルジストニア」の主な特徴です(症状が似ていても他の疾患が隠されている場合もあります。自己診断はせず、必ず専門機関での診察を受けてください。)

フォーカル・ジストニアとは

楽器を演奏するためには多くの場合「指が素早く正確に動かせる」等の手指の巧緻な運動スキルが必要とされます。
しかしフォーカル・ジストニアは、楽器演奏の際に意図せず手指の筋肉に力が入って指を動かすことができなくなったり、動かそうと思っていない指が勝手に動いてしまうなどの症状で演奏を妨害します。管楽器奏者の場合は、指先ではなく、口や舌周辺を自由に動かせなくなるという症状が見られる場合もあります。

少し前まで「フォーカル・ジストニア」という病名は演奏家にも医療関係者にもよく知られておらず、病院に行っても正しい診断を受けることができない演奏家が多くいましたが、現在は医療関係者にも少しずつ認知されてきており、音楽家外来・神経内科などで診断を受けることができます。

フォーカル・ジストニアの症状と特徴

フォーカルジストニアの指の巻き込み-演奏中に意図せず起こる指の巻き込み、突っ張りなど(右の写真はピアニストの薬指・小指の巻き込みの症例)
-自分が専門にしている楽器を演奏するときのみ症状が現れる
-痛みを伴わない

フォーカル・ジストニアは多くの場合に痛みやしびれを伴いません。そのため、演奏者はごく初期の段階では「何となく動かしにくい、変だな」「練習不足ではないか」と感じて、さらに練習を続けてしまい、症状を悪化させてしまうという悪循環に陥ることがよくあります。
またこのような症状は、たいていの場合自分の専門の楽器を演奏しようとするときには起こるが、それ以外の楽器演奏や日常生活では現れない、という特徴を持っています。例えばピアニストがピアノを触ると現れるが、電子ピアノだと起こらない、クラリネット奏者がサクソフォンを吹くときには現れない、といった症例も報告されています。しかし、症状が進むと次第にフォーカル・ジストニアで起こっている動きが日常生活にも影響を与える場合もあります。
また日頃から(あるいは長年に渡って)よく練習していた音型や動きのパターンで、特に発症しやすいという報告もあります。

ディスポキネシスではこのようなフォーカル・ジストニアの症状を、長年の演奏経験によって固定化された(されすぎてしまった)運動プログラムが現在やりたいことを妨害しているという概念でとらえ、新しい運動プログラムを構築するための独自のリハビリテーション方法を実践しています。

フォーカル・ジストニアの原因とは?

フォーカル・ジストニアの発症のメカニズムについては現在のところまだ完全に解明されているわけではありません。全ての症状を根治させる治療法やリハビリの方法も確立されていません。
遺伝的要素や心理的要因、環境的要因(生活環境の変化や師事している先生の変化など)との関連も指摘されていますが、決定的な要因としては認識されていません。おそらく複合的な要因が重なって発症するのではないか、と考えられていますが、「指先が動かしにくい」という症状の原因が、筋肉や神経などの「肉体」の方にあるのではなく「脳」の変化によるものだということは分かってきています。

では、このようなネガティブな症状を引き起こしてしまう「脳」の変化とはいったい何なのでしょうか?
一つの楽器演奏の技術に習熟するために、演奏家は長年練習を重ね、演奏に関わる多くの動きはいわば「自動化」されていきます。初心者は一つの音を出すだけでも色々なことを考える必要がありますが、長年トレーニングを重ねたピアニストならば誰でも「ドミソ」の和音を弾きたいと思えば、手は自ずから「ドミソ」を弾ける状態になってくれます。
毎日の練習を通じて、脳は神経や筋肉への複雑で高度な指令を「プログラム」として記憶していき、いつでもその記憶を呼び出せるような状態に変化します。このように練習の過程で演奏家の脳は変化し、演奏に必要な動きのプログラム(運動プログラムと呼びます)が自動化されていくことで、演奏家は音楽の内容だけに集中して演奏できるようになっていきます。

このような段階に至るまでには、演奏家は同じ動きを数え切れないほど繰り返しています。そして、やりにくい音型や苦手意識のある箇所であれば、必要以上に反復して練習する場合も多く、練習が過酷なものになっていきます。このような練習は「ストレス」や「疲労」を伴う場合も多く、この練習の過程で何らかの望ましくない脳の変化(あるいは行きすぎた変化)が、フォーカル・ジストニア発症の要因になっているのではないかと考えられるのです。

ディスポキネシスを使ったフォーカル・ジストニアのリハビリテーション

フォーカル・ジストニアに対処するために、レッスンは次のような内容を並行して取り上げながらプログラムしていきます。

1.全身の姿勢や動きの感覚に気づく

フォーカル・ジストニアは指先に現れる症状ですが、指先の動かしやすさは全身のコンディションと大きく関わっています。
このため、楽器の構え方や、日常的な姿勢のアンバランスさなどが発症の引き金になっていたり、指の動きの回復を難しくしているケースもよく見られます。
重要な練習となる指先の運動感覚の再構築のリハビリを効率よく進めるためにも、その前提となる全身の状態について、自分自身で気づくことは非常に重要なステップとなります。

2.指先の運動感覚を再構築する

指先の微細な運動感覚を再構築するため、まずは問題の起こっている楽器から離れて、指1本ずつのラクで独立した動きの感覚を練習します。練習を通じて、微細な筋感覚の違い等を感じ取れようにし、動きやすさ、動きにくさの背景にある、イメージを意識化させて、ラクで機能的な動きを導くイメージを見つけていきます。
また、様々な音型とエコノミックな動きのイメージを練習するために、ピアノを使ったエクササイズも頻繁に使います。さらに、フォーカル・ジストニアの症状と類似した動きのパターンを、応用的にエクササイズに組み込んで、練習していきます。

練習を通じて、演奏者はこれまで無意識だった「こうしなければならない」という技術的なイメージに気づく場合も多く、これらの気づき自体も症状の改善には重要な要素となります。

3.再構築した指先の動きのイメージを、実際の演奏行為に連動させる

2の練習で獲得した微細な動きのイメージを、実際の演奏に連動させていきます。

4.練習の仕方を練習する

フォーカル・ジストニアは「自動的に」「無意識化された動き」が起こってしまうということが問題の根底にあります。
このようなことが起こってしまう背景には、からだを酷使しても自分の求めた結果が生まれるまで繰り返してしまうような練習の過程が大きな原因の一つではないかと考えられています。
どのような練習(リハビリ)をするかという問題以前に、練習をむやみに反復して身体に無理を強いないこと、目に見える成果(テンポや音量など)を追い求めないことなど、練習にのぞむ態度を変えるということが、リハビリテーションの過程では非常に重要になります。
「からだに起こっていることを脳がどのように認識しているか」「脳がどのようにイメージすると、からだがどのように反応するか」というからだと脳の対話を練習することこそが重要になってきます。

長年の演奏生活を通じて定着してしまった習慣的な動きを変化させるのは、一朝一夕には非常に困難なことでもあり、リハビリテーションには忍耐が必要になります。
でも、脳は経験によって日々柔軟に変化する能力を持っています。
からだや指が心地よくラクに動くことができる感覚をゆっくりと味わい、「気づく」力を身につけることで、脳内で混乱してしまっている指先の感覚と動きの関係を再構築し、演奏する喜びを取り戻しましょう。